オールカマー2016年|穴馬候補クリールカイザー

 産経賞オールカマーはGIホースのゴールドアクターとマリアライトの2頭に注目が集まっている。しかし、そんな2強ムードだからこそ軽視できないのが、クリールカイザーと田辺裕信騎手(32)=美・フリー=だ。このコンビは昨年、今回と同じ舞台のアメリカジョッキークラブCで果敢な逃げを打ち、ゴールドシップの1強ムードを打ち破って重賞初制覇。今回も積極策をほのめかし、“大物食い”を狙っている。

 2強ムードなど、この男にはお構いなしだ。

 「2頭は強いし、堅実ですからね。でも競馬なので、何があるかは分かりませんよ」

 不敵に笑う田辺騎手とクリールカイザーのコンビは、昨年のAJCCでゴールドシップが単勝オッズ1・3倍と1強ムードの中、果敢に逃げ切って波乱を演出。他にも田辺騎手は、変幻自在の大胆な騎乗で何度も“大物食い”をしてきた。

 今年の安田記念では8番人気(単勝3690円)のロゴタイプで逃げ切り、単勝1・7倍の圧倒的な支持を受けた絶対王者モーリスを退ける大金星。昨年のアルテミスSでは12番人気(同8280円)のデンコウアンジュに騎乗し、のちにGIを2勝するメジャーエンブレムを直線一気で差し切った。注目度が低いときこそ、怖いジョッキーなのだ。

 しかもこの舞台なら、なおさら。「中山の2200メートルは好きですよ。ペースとか展開とか、レースの組み立てがおもしろいので」。トリッキーなコースだからこそ、やりがいがあるし、番狂わせも起きやすいと話す。

 好きと言うだけあり、攻略法も熟知している。中山芝2200メートルの重賞は近3年だけで3勝。それも全てが相沢厩舎の所属馬(ヴェルデグリーンで2013年オールカマー、14年AJCC)と相性の良さが際立つ。

 クリールカイザーは脚元の不安で長期休養していたが、復帰3戦目となった前走の七夕賞が見せ場十分の5着。ジョッキーも「ハンデ(57キロ)も重かったし、時計的にもよく頑張っていました。レースを使われて体調も上がってきたのでは」と復調気配を感じている。

 「前走みたいに早めにスパートする形でもいいし、逃げてもいい。あくまでも枠順とか馬場状態次第ですけどね」。田辺騎手は静かにVのイメージを描く。嵐が去った中山に波乱の気配が漂う。(藤沢三毅)

★驚異の単勝回収率454%

 田辺騎手は相沢厩舎の所属馬に67回騎乗して11勝、2着6回。勝率16.4%、連対率25.4%と好成績を残している。中山の芝レースに限定すると、25戦で勝率28.0%、連対率44.0%と跳ね上がり、単勝回収率は454%と驚異的な数字。2013年にヴェルデグリーンでこのレースを勝ったときも9番人気(単勝3800円)と人気薄だった。



クリールカイザーと田辺・・・

あのゴールドシップにも先着している
中山芝2200m(AJC杯)





本命
クリールカイザー